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金沢医科大学放射線障害予防細則

(目的)
第1条 この細則は、金沢医科大学放射線障害予防規程(以下「規程」という)に定める事項の実施について、技術的事項や手続き等を定めることを目的とする。

(放射線安全管理事務局)
第2条 放射線障害の予防に関する庶務は事務局に置き、放射線障害の予防に関する事務を行う。

(管理区域)
第3条 規程第21条第2項に定める管理区域とは、外部放射線に係る線量当量が科学技術庁長官が定める線量当量を超え、空気中の放射性同位元素の濃度が長官の定める濃度を超え、又は放射性同位元素によって汚染された物の表面の放射性同位元素の密度を超える恐れのある場所をいう。

(維持及び管理)
第4条 規程第23条に定める放射線施設の巡視、点検は次の項目について行うものとする。
 (1) 耐火性等
 (2) しゃへい能力
 (3) 防火設備
 (4) 防水効果
 (5) 貯蔵容器等
 (6) 排水設備
 (7) 排気設備
 (8) 電気設備
 (9) 汚染検査設備
 (10) 閉鎖設備
 (11) 標識
 (12) 注意事項
 (13) その他放射線施設の維持、管理に必要なもの
2 巡視及び点検は必要に応じ年2回以上行うものとする。

(定期点検)
第5条 規程24条に定める放射線施設の定期点検は、次の項目につきそれぞれの細目の適合性について行うものとする。
 (1) 位置等        地崩れ、浸水の恐れ。周囲の状況
 (2) 主要構造部等     不燃材料又は耐火構造。貯蔵室は耐火構造
 (3) 人が常時立ち入る場所 しゃへいの状況。線量等量
 (4) 管理区域の境界    しゃへいの状況。線量等量
 (5) 本学の境界      しゃへいの状況。線量等量
 (6) 学内の人の居住区域  しゃへいの状況。線量等量
 (7) 管理区域       設定及び区画物状況。線量等量。標識の状況
 (8) 汚染検査室      設置位置。床、壁などの突起、くぼみ、表面材
               料の状況。洗浄設備、更衣設備の状況。除染
               器材の有無。測定機の作動状況。標識の状況
 (9) 作業室        設置位置。床、壁などの突起、くぼみ、表面材
               料の状況。フードの排気設備への連結状況。流し等の
               状況。換気状態。標識の状況
 (10) 貯蔵室        耐火構造、甲種防火扉の状況。貯蔵箱の状況。
               貯蔵容器の種類、個数及び構造、材料、耐火性、受け
               皿・吸収材等の貯蔵状況。貯蔵核種、数量及び貯蔵能
               力の状況。標識の状況
 (11) 排気設備       排風機の性能、作動状況。排気浄化装置(フイ
               ルター)の状況。排気管の破損、漏れ等の状況。
               ダンパーの作動状況。排気口の破損、周囲の
               状況。標識の状況
 (12) 排水設備       排水浄化槽の容量及び破損、漏れ等の状況。排 
               水ポンプ・バルブの作動状況。配水管の破損、
               漏れ等の状況。標識の状況
 (13) 保管廃棄設備     位置、外部との区画、閉鎖設備の状況。廃棄容
               器の種類、構造、材料、耐火性、受け皿・吸
               収材等の状況。標識の状況
 (14) 有機廃液焼却炉    位置、種類、台数の状況。排気・排水設備の機
               能等の状況。防火設備の状況。焼却炉の燃焼
               状況。排気設備への連絡等。標識の状況
 (15) 防火設備       放射線施設全体に対する防火体制の状況
2 定期点検は年2回以上行うものとする。

(業務従事者)
第6条 放射性同位元素等を取り扱おうとする者は、あらかじめ教室主任の同意を得て、事務局に所定の申請書を提出しなければならない。
2 申請者は第37条の規程に基づく健康診断を受け、かつ、第36条の規程に基づく所要の教育訓練を修了し、学長の許可を得なければならない。
3 前号の許可を与えた者に対し委員会は、放射性同位元素取扱者名簿に登録するものとする。
4 申請者は、使用核種及び使用量並びに研究方法等の調査を受けなければならない。
5 第2項の登録有効期間は年度内とする。
6 学生実習のため放射性同位元素等を使用する学生については、一時立入者とし登録する。

(業務従事者等の義務)
第7条 放射性同位元素使用施設に立ち入る者は、放射線施設責任者の管理のもとに、規程第22条及び第26条の定めるもののほか、次の各号に掲げる事項 を厳守しなければならない。
 (1) 放射性同位元素は、管理区域内の作業室において取り扱わなければならない。
 (2) 管理区域に立ち入る際は、事前に放射線取扱主任者の承認を得なければならな
    い。
 (3) 放射線業務従事者及び一時立入者は、個人被曝線量計又は、フィルムバッヂを
    装着すること。ただし、一時立入者においては、放射線取扱主任者が法令に定
    める許容被曝線量を超えるおそれがないと認めた場合は、この限りではない。
 (4) 放射性同位元素等の使用に際しては、放射性同位元素等使用許可証に記載され
    ている最大使用数量を超えて使用してはならない。
 (5) 使用に際しては、放射線施設責任者の指示に従い「使用簿」に所定の事項を記
    入すること。
 (6) 管理区域に立ち入る者は、所定の防護用の作業衣、ゴム手袋、スリッパ等を着
    用しなければならない。
 (7) 放射性同位元素の封入容器には、必ず規定の標識を付けること。
 (8) 放射性同位元素等の使用に際しては、常時作業環境の汚染状況の測定を行い、
    汚染が生じた時、又は発見した時は直ちに汚染の拡大の防止に努めるとともに
    放射線施設責任者に連絡しなければならない。
 (9) 管理区域内において飲食、喫煙、化粧等の放射性同位元素を体内に摂取するお
    それのある行為を行ってはならない。
 (10) 管理区域内は、常に整理・清掃を行い、作業に必要のない機械器具類を持ち込
    まないこと。また、機械器具類を管理区域外へ持ち出す場合は、放射線施設責
    任者の指示に従い、表面汚染の有無を検査し、その表面汚染が最大許容表面密
    度の10分の1以下である事を確認した後でなければならない。
 (11) 業務従事者は、使用目的に応じて放射線障害の発生する可能性が最も少ない使
    用方法を選択採用する。
 (12) 業務従事者は、被曝放射線量を最小限にとどめるため次の措置を講じなければ
    ならない。
  イ しゃへい壁その他のしゃへい物(鉛ブロック、アクリルしゃへい板等)を用い
    ることにより放射線のしゃへいを行う。
  ロ 遠隔操作装置、鉗子等を用いることにより、放射線源と人体との間に距離を設
    けて作業すること。
  ハ 人体が放射線に被曝する時間を短くすること。
 (13) 地震、火災、水害等の災害により放射線障害が発生するおそれのある場合又は
    発生した場合における措置については規程第40条によるものとする。
2 密封されていない放射性同位元素を使用する場合は、前項各号に掲げるもののほか次の各号に掲げる事項を厳守しなければならない。
 (1) 汚染及び汚染の拡大を防止するため、次の事項を守ること。
  イ 実験台(フードの内面等)はビニールシート、ろ紙等の適当な表面材
    料で被覆する。
  ロ 放射性同位元素を含む気体、粉塵等を飛散させるおそれのある作業は、
   グローブボックスその他排気装置等を使用する。
  ハ 液体状の放射性同位元素は必ず安全ピペットで吸上げ、固体状の場合
    はピンセット、鉗子等適当な器具を用いる。
  ニ 作業中において汚染のおそれがある時は、直ちに汚染の検査を行い、
    洗浄、脱衣等適当な処置をする。
 (2) 液体状の放射性同位元素を多量にこぼしたり、気体状の放射性同位元素
   を飛散したりして放射線障害を受けるおそれのある事故が発生した時は、
   放射線施設責任者、安全管理責任者並びに安全管理担当者及び同室の放
   射線作業従事者に通知し、応急の措置を講ずること。
 (3) 取扱いを継続するため貯蔵庫に保管することが困難である場合には、放
   射線施設責任者及び担当者の許可を得て、作業室に置くことができる。

(放射性同位元素の保管)
第8条 放射性同位元素の保管は規程第28条に定めるもののほか、放射線施設責任者の監督のもとで、次に掲げる各号の基準に従って行わなければならない。 
 (1) 放射性同位元素は、すべて所定の貯蔵施設において保管すること。
 (2) 放射性同位元素の容器には、その内容の種類、数量、日付、作業従事者
   名を記載した表示を表面にはりつけること。
 (3) 放射性同位元素の種類及び数量に応じ、次の種別をもうけ、保管にあた
   っては種別に従い次の容器に入れ貯蔵すること。

種別         放射性同意元素の種類及び量
第1種  37メガベクレル以下のβ線放射体、370キロベクレル以下のγ線放射体
第2種  37メガベクレル以上3.7ギガベクレル以下のβ線放射体、370キロベク
     レル以上37メガベクレル以下のγ線放射体
第3種  3.7ギガベクレル以上のβ線放射体、37メガベクレル以上のγ線放射体


種別           容 器
第1種  ガラス容器等
第2種  ガラス容器等の一次容器をさらに小型鉛製の二次容器に入れる。
第3種   一次容器にいれ、さらに中型鉛製容器以上の二次容器に入れる。

 (4) 放射性同位元素は、その日の作業が終了したときは必ず貯蔵庫に保管するこ
    と。
 (5) 放射性同位元素を使用の際、貯蔵庫から引き出すときは、放射線施設責任者に
    申し出て所定の用紙に持出日時、搬出者名、放射性同位元素の種類、数量等を
    記入すること。
 (6) 放射線施設責任者は、貯蔵庫の貯蔵能力を超えて貯蔵することがないよう監督
    しなければならない。

(放射性同位元素の廃棄)廃棄物処理
第9条 放射性同位元素の廃棄は、規程第32条に定めるもののほか、次の各項目に従って行わなければならない。
 放射性廃棄物は、それぞれの形状並びにその中に含まれている放射性同位元素の種類、濃度によって次に掲げる分類をし、処理した後、特定の容器に保管しなければならない。ただし、安全管理担当者が放射線障害の発生するおそれがないと認めるときは、排水設備によって廃棄することができる。
 (1) 固体状の廃棄物は、可燃物(紙、布、ビニール、木等)と不燃物(ガラ
   ス、金属、土砂等)に分け、それぞれ別々の容器に保管すること。
 (2) 液体状の廃棄物は、できるだけ固体状にし、前号により処理する。ただ
   し、固体状に変化させることが困難な場合には、廃棄用容器に入れて保管
   し、容器は溶液の性質によって酸、アルカリ等の水溶性と有機溶媒を設け
   る。
 (3) 排水浄化槽の沈澱物、多量の水、液体を含んだ紙、布類、液の入ったビ
   ン等の廃棄物はスリラー用容器に保管すること。
 (4) 気体状の廃棄物の処理は、安全管理担当者の指示に従うこと。
 (5) 汚染動物の死体、組織等の腐敗し易い廃棄物は、凍結容器に収納し、乾
    燥後所定の容器に保管すること。
 (6) 前各号の容器はさらに廃棄物中に含有される放射性同位元素の種類によって、
    次の区分に従いそれぞれ別個の容器とする。
  イ 短寿命廃棄物  物理的半減期が30日以下のもの
  ロ 中寿命廃棄物  物理的半減期が30日以上1年以下のもの
  ハ 長寿命廃棄物  物理的半減期が1年以上のもの
2 廃棄にあたっては所定の用紙に日時、廃棄物処理者の氏名、廃棄した放射性同位元素の種類、量、その他の事項を記入すること。
3 廃棄物容器の保管内容物の処理等については、放射線施設責任者の指示を受けること。
4 廃棄物は保管廃棄を原則とし、処理機関に処分を依頼する。
5 放射性有機廃液を焼却廃棄する場合は、次の事項に基づいて処理を行うこと。
 (1) 焼却廃棄作業は、「放射性有機廃液の焼却に関する安全指針」に基づいて行う
    こと。
 (2) 廃棄作業に従事する者(以下「廃棄従事者」という。)は、放射線施設責任者
    の承認を得たうえで施設管理責任者の監督下で焼却作業を行うこと。
 (3) 廃棄従事者は、第36条の規程、及び別に定める放射性有機廃液焼却炉運転管
    理要領に基づいた教育訓練を受けなければならない。
 (4) 焼却対象物は H-3、C-14、S-35、P-32及びCa-45を含む有機廃液で十
    分な可燃性があり、かつ、流動性を持つ液体に限る。
 (5) 排気口における排気中のRI濃度及び排水口における排水中のRI濃度が法定
    の許容濃度以下となる濃度にするため、焼却する有機廃液中のRI濃度は、上
    限濃度を次の値とする。
    H-3 : 37ベクレル/ml、   C-14 : 37ベクレル/ml
    S-35 : 37ベクレル/ml、  P-32 : 3.7ベクレル/ml
    Ca-45 : 3.7ベクレル/ml
    ただし、上限濃度を超える有機廃液については、稀釈等の適切な処理を行い、
    許容濃度以下とした後焼却すること。
    なお、複数の核種が存在する場合は、それぞれの濃度の目標値に対する割合の
    和が1を超えないものとする。
 (6) 焼却炉の取扱いに関し、次の注意事項を厳守すること。
  イ 点火及び焼却終了時には、必ずエアパージを行うこと。
  ロ 焼却炉の運転中は、炉内温度、炉力圧力、煙漏れ、水漏れ及びその他の異常の
    有無について十分な監視を行うこと。
  ハ 6ヵ月を超えない期間ごとに燃焼室、燃焼機器、地震感知消炎装置、電気系統
    及びポンプ系統の作動状況について点検を行うこと。また、同時に火災検知装
    置、監視窓及びタンク配管系統の清掃並びに燃焼室補集装置内における残渣の
    洗浄又は除去を行うこと。
    なお、この作業は廃棄作業室内で行い、汚染の広がらないように注意して行う
    こと。
 (7) 焼却中は、焼却炉の安全確認を計るため連続監視を原則とする。
 (8) 焼却中に焼却炉の異常を発見した場合は、直ちに運転を停止し、施設理責任者
    に連絡すること。施設管理責任者は、異常の原因を究明し、放射線施設責任者
    にその旨を連絡すること。また、異常の原因が明らかでない場合は、運転を再
    開してはならない。
 (9) 焼却後の固形物等の残渣は保管廃棄すること。また、補集装置の洗浄水又は補
    集水を排水する場合は、排水設備にて排水すること。
 (10) 焼却後は、焼却廃棄簿に必要な事項を記録すること。

(場所の測定)
第10条 規程第34条第3項の測定は次の各項に従って行われなければならない。
 放射線の量の測定は、
 (1) 使用施設については、各室の空間線量
 (2) 貯蔵施設については、貯蔵箱、貯蔵施設の壁面及び貯蔵施設内の空間線量
 (3) 廃棄施設については、廃棄物保管施設の壁面及び廃棄施設内の空間線量
 (4) 管理区域の境界並びに本学の境界については、それぞれの境界
2 放射性同位元素による汚染状況の測定は次の各号に従って行わなければならない。
 (1) 使用施設については、各室の空気中の放射性同位元素濃度並びに各室の床面、
    壁面、実験机の表面における放射性同位元素密度
 (2) 廃棄施設については、各室の空気中の放射性同位元素濃度並びに各室の床面、
    壁面及び排水口、排気口の放射性同位元素の表面密度
 (3) 排気中の放射性同位元素の測定は、排気口における空気中の放射性同位元素濃
    度
 (4) 排水中の放射性同位元素の測定は、排水前における希釈槽中の水中の放射性同
    位元素濃度

(危険時の措置)(緊急時連絡網)
第11条 地震、火災、水害等の災害により、放射線障害が発生するおそれのある場合又は放射線障害が発生した場合は規程第40条に定めるもののほか、次の各号に従って応急の措置を講ずるものとする。
 (1) 緊急の事態を発見した者は、災害の拡大防止に努めるとともに、直ちに、その
    旨を放射線取扱主任者又は放射線施設責任者並びに安全管理責任者に通報する
    こと。
 (2) 前号の通報を受けた者は、直ちに、学長に通報しなければならない。
 (3) 学長は、その状況を判断し、所轄の消防署又は警察署に通報しなければならな
    い。
 (4) 災害防止に従事する者は、放射線取扱主任者及び放射線施設責任者並びに安全
    管理責任者の指示に従わなければならない。
 (5) 放射線障害を受けた者又は受けたおそれのある者は速やかに救出し、なお付近
    にいる者に避難するように警告しなければならない。
 (6) 放射性同位元素を他の場所に移す余裕のある時は、これを安全な場所に移しそ
    の周囲に縄をはり、標識を附して見張人を置き、関係者以外の立入りを禁止す
    ること。
 (7) その必要な措置は、学校法人金沢医科大学防火管理規程による。

(事故時の措置)緊急時連絡網
第12条 放射性同位元素等について、盗取、所在不明、その他の事故が生じた時は、次の各号に従って、遅滞なく応急の措置を講ずるものとする。
 (1) 事故を発見した者は、直ちに、その旨を放射線取扱主任者又は放射線施設責任
    者並びに安全管理責任者に通報すること。
 (2) 前号の通報を受けた者は、直ちに、学長に通報しなければならない。
 (3) 学長はその状況を判断し、直ちに、その旨を所轄の警察署又は海上保安庁に届
    出なければならない。

   附 則
 この細則は、平成元年4月1日から施行する。
   附 則
 この改正細則は、平成5年4月1日から施行する。

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